会議室
隣の部屋は会議室であるが、普段は使われていない為、教室には何もなく、冬のせいで部屋とても寒い。
その部屋の中で、監督は”正座”をするように言った。もちろん冷たい床にそのまま正座だ。
僕と片田先輩の向かいに監督も正座をした。
とても寒い部屋の中で暖房もつけてもらえる訳もなく、ひたすら床から伝わる寒さのおかげで正座をした接地面がとても痛い。
それからどうしてそうなったのか、いつからタバコを吸っているのかなど全て話をした。
ふと会議室の時計を見ると、正座をして2時間が経っていた。
全ての話が終わると監督が「お前ら立て」と言った。
僕は先輩と立ち上がろうとするが、冷たい床の上で正座を長時間していて、足首が完全に凍ってしまい、曲がらなかった。
笑い話ではないが、例えるならば”バレリーナ”のような足首になっていた。
何度立ち上がろうとしても足首が言うことを聞かない。
片田先輩と立ち上がれずにいると、監督はスッと立ち上がり片田先輩に向かって
突然「歯をくいしばれ」と言って、往復で顔に”ビンタ”をした。
容赦ないビンタに片田先輩は吹っ飛んだ。
僕はその光景を真横で見ていた為、恐怖で会議室から逃げようと思った。
しかし足が言うことを聞かず、立つ事すらできない。
すると先生は僕の前に立ち、僕にも往復ビンタをお見舞いした。
僕は立っていることが出来ずに、近くの机にしがみついた。
先生ビンタをすると「お前らこれで気合い入れなおせ!」と言った。
ここまでの話だけを聞くと「教師による暴力は問題だ!」なんて声が聞こえてきそうだが、僕が中学生の頃はいまからもう10年以上前だから、あまり教師による暴行で問題になるようなことは無かった。
それでも少しずつ生徒への暴力で問題にはなっていたが、僕は先生からの暴力だとは思っていないので安心してほしい。
なぜなら、悪いことをしたのは僕たちであり、どんなことがあっても暴力をするのは良くないことだが、その時の監督からの”ビンタ”は愛情だったと僕は思っている。
普段は優しく、生徒思いの先生があんなに怒っているところを見たのは初めてだ。
わが子のように思ってくれていたのだろう。悪いことをしたら自分の立場なんて考えずに行動してしまうだろう。
おそらく片田先輩も同じ考えだっただろう。