手紙回し

手紙回し

 

練習へ戻ることが出来た僕はまた普通の学校生活へと戻った。

 

そして先輩達と問題を起こしたこともあり、先生たちの目が厳しくなったのもあり、同級生と過ごす時間が多くなっていた。

 

小学生の時に不登校だったこともあり、僕は勉強が全くできなかった。

 

だから、授業中は友達にちょっかいをだしたり、お喋りしたりして暇をつぶしていた。(もちろん真面目な生徒にはちょっかい出していない)

 

ココロのどこかで「先輩と絡むのも良いけど、やっぱり同級生は最高だ」と思っていた。今まで先輩たちと絡むことが多かったから同級生たちとのコミュニケーションをあまりとっていなかったから余計にだ。

 

当時流行っていたのが授業中に異性と手紙のやり取りをすることだった。

 

席が3つくらい離れていても、授業中に隣の生徒の机に手紙を置いて回してもらっていた。

 

僕は女の子とあまり喋ったことが無く、手紙のやり取りは無縁だった。周りの生徒たちが手紙のやり取りをしているのがとても羨ましかったけど、僕の出番はいつも”手紙の回し役”だった。

 

当然学生なんて”イケメン”や”かわいい子”がモテるから、僕みたいな生徒を相手する異性なんてもちろんいないことはわかっていた。

 

しかし、ある日いつものように一つの手紙が回ってきた。

 

小さな声で「誰に回すの?」と聞くと「お前にだってよ」と友人は言った。

僕はドキッと一瞬したが、冷静になって考えてみると「これは冷やかしで誰かが書いたんだな」と思ったので、あえて授業中には見ずに後で捨ててやろうと思い、ポケットに締まった。

 

授業が終わって、いつものように部活へ出て家へ帰った。

 

家に着いてお風呂に入る時にポケットの中に手を入れると、”あの手紙”が入っていた。

 

冷やかしだから興味なかったが、捨てる前に1%の期待を込めて、手紙を開いた。

 

すると内容はこんなものだった。

 

「そうくんへ。いきなりごめんネ。今度の土曜日予定あいてるかな?お返事まってるネ。あかねより」だった。

 

僕は飛び跳ねた。この手紙は冷やかしでは無くて本当に女の子からの手紙だったのだ。

 

心臓がドキドキしていた。

 

次の日、学校へ行くとその子と目が合ったが、恥ずかしかったのですぐに逸らした。

 

無視する理由もないので、一応返事を書くことにした。そして僕は”手紙を書く側”として初デビューを果たすことになった。

 

手紙を回してもらい、その子へ手紙を送ったのだ。

 

手紙を回すとその女の子はすぐに手紙を開いていた。

 

その様子を横目でチラチラ見ていると少しニヤッとしていたのが分かった。

 

それから授業が終わり、昼休みに入りいつものように男友達と通路にあるベンチで話をしていると、女の子二人組が来て「そうくんちょっと来てくれる」と言ってきた。

 

他にも男友達が10人くらい居て、僕は周りから「ヒューヒュー」と冷やかされた。

 

その女の子たちについていくと、そこには手紙の相手(あかねちゃん)が居た。

 

「ほらあかね。連れてきたよ!」と言うと、あかねちゃんは「ありがとう」とだけ言った。

 

女の子二人は僕とあかねちゃんを二人きりにしてどこかへ行ってしまった。

 

僕はこんなシチュエーションが初めてだったので心臓がバクバクだった。

 

するとあかねちゃんの方から「そうくん。手紙ありがとね。返事見たよ。じゃあ、明日10時に市民会館の前で集合で良いかな?」と聞いてきた。

 

僕は「う、うん。よろしくおねがいします」と言った。

 

なんでよろしくおねがいしますなんて堅い言葉を言ったのか後から後悔した。女の子慣れしていないのがバレバレだった。

 

話が終わったので足早に友達たちのところへ戻ると「そう!顔が赤いぞ!」なんてまた冷やかされた。

 

僕は「うるせぇ!」とだけ言って、ベンチに座った

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