音楽を始めたのは、あるお笑い芸人の息子であるベーシストの影響だ。
それまでは音楽のことはなに一つ分からなかった。
音符も読めないし、記号もわからない。
わかるとしたら楽器の名前ぐらいだ。
そんな中、エレキバースを弾いていたその息子の方に、憧れてエレキベースを始めた。
エレキベースがかっこいいと思ったのは、その低い音とバンド全体を包んでるいるような音質にで、すごく重要な楽器だと気がつき、特に目立つわけでもないが、バンド全体を支えるという点に、憧れを持った。
最初は、ネットに載っている簡単な曲から練習し始めた。
やはり独学だと、弾き方などのコツがわからない。
最初はすごく苦戦した。
僕が憧れているベーシストは、スラップという奏法を得意としており、僕はそれを真似し始めた。
曲ではソロでスラップを使うことが多い。これがまたすごくかっこいいのだ。
簡単に真似できるものではないが、指で弾く王道の弾き方より、自分のスタイルにハマった。
それからずっとスラップを練習していた。
音楽を始めるにあたって、エレキベースという楽器からスタートしたが、ただ趣味で弾いているのもだんだん飽きてくる。
誰かの前で披露したくなるのだ。自己満で終わりたくなかった。
しかしエレキベースはバンドを組んで、その一員として弾くことが大半だ。
1人でエレキベースを持ち、人前で演奏するのは、さほど上手くないと拍手喝采など起きない。
僕は学校に行っておらず、友達もいなかったので、もちろんバンドメンバーなんか集まるわけがなかった。
しかしベースを弾くのをやめなかった。
中学3年生になり、進路を考えるとき、成績も出席日数もないもない僕を、受け入れてくれる学校はあるのだろうか。