第四話
溝は埋まらない
としきとけんたの間には溝ができていた。
いつもお互いの家に行ってはゲームで対戦したり、共通して同じスポーツが好きで公園で遊んだり、楽しいことがたくさんだった。
としきはけんたに影響を受けることが多く、けんたが習っていた柔道教室を紹介してもらって習ったり、映画やスポーツの好みも寄せていった。
そんな2人には友達関係には良くない、上下関係という面で溝が深まりつつあった。
大きな事件をきっかけにその溝は埋まることは無くなってしまった。
いつものようにけんたがとしきの家に遊びにきた。
「プロレスごっこしようぜ!」
けんたはそう言ったが、としきは内心
「おれの方が体が小さいし、勝てるわけないよ。」
心の中ではそう思っていたが、けんたの機嫌が損ねる方がいやだったからか泣く泣く承諾してしまった。
けんたはすごく興奮し、本気でプロレスをやり始めた。
「よっしゃーかかってこい!色んな技試したいんだよ!」
「待って!怪我しないようにしてよ!」
「分かってるって、手加減するから!」
としきは意を決してけんたに立ち向かっていくが、けんたの方が体も大きく力も違う。当然かなうわけがない。
「おーどうだ!まいったかー!」
けんたはとしきの腕を思いっきり引っ張りながら、マウントをとってくる。
すると、よくないことが起こった。
もともと体が弱いとしきは腕を思いっきり引っ張られると腕の骨が外れてしまうのだ。
「痛い!痛い!やめて!」
「おらーおらーもっとだ!」
すると案の定腕外れてしまった。
続く