練習へ復帰

練習へ復帰

 

草むしり生活が1カ月程続いたある日、いつものように草むしりを片田先輩としていたら突然監督が僕たちのところへやって来て

 

「片田、篠田もう十分反省したか?」と聞いてきた。

 

僕たちはもう十分反省していたし、二度とたばこやお酒を飲まないと決めていたので口先だけでなく、心から「はい。反省しています」と言った。

 

そしてみんなと同じように練習へ戻ることになった。

 

他の選手たちは練習を始めていたから、僕たちは急いでランニングなどのウォーミングアップから練習に入った。

 

しかし、そこで感じたのは1カ月のブランクだった。

 

1カ月練習をしないで草むしりばかりしていたから、少し走っただけで息が切れるのを感じた。

 

キャッチボールだって、家でしていたわけではない。(これはスポーツマンとして悪いことをしたのに、家でこっそりとグローブを握るのも自分たちは許せなかったから)

 

ボールを投げれば相手まで届かないし、うまくキャッチすることもできない。

 

僕はそこで初めてブランクの恐ろしさを知った。

 

僕はピッチャーをしていて、一応チームのエース(背番号1番)の座にずっと居たが、不祥事を起こしたことでもちろん降格した。

 

僕はその時心の底から後悔した。

 

ちょっとした気の緩みから悪い道へ足を踏み外し、今まで積み上げてきたものが一瞬にはじける思いをした。

 

その後の僕は徐々に元のパフォーマンスに戻っていったが、不祥事を起こしたことへの回りの目や偏見が消えるわけではない。

 

試合でも今までは毎回ピッチャーとして出場していたが、悪いことをした選手を試合に出せるわけもなく、毎日ベンチからの応援になってしまった。

 

ベンチに入れるだけでもいいと思われるかも知れないけど、僕たちの学校は選手が元々15人程度しかいないので、ベンチに入ることは誰でも可能なのだ。

 

その中でも他の選手たちは出番をベンチで待っているのに、僕と片田先輩は出番が回ってくるはずがないのにベンチで他の選手たちを応援だけしているのはとても苦痛で仕方なかった。

 

草むしり生活が自分たちにとって最悪の状況だと思っていたが、本当に最悪だったのは練習に戻ってからだったことは言うまでもない。

 

僕の経験を反面教師にして、今の世代の子供たちには目の前の誘惑に負けるとその後とても後悔することになることを知っていてほしい。

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