口裏合わせ
次の日。
朝9時に職員室へ来るように言われていたので学校へ向かった。グラウンドでは野球部が1日練習をしている。
僕はバレないようにこっそりと自転車置き場に向かい、職員室へ行った。
職員室へ行くと先生が4人いた。そして”あの日”の4人は一人ずつばらばらの部屋で事情聴取されることになった。
僕の部屋の担当は、僕のクラスの担任だった。
僕は怒られるだろう。気分が悪いと思っていた。
すると担任の先生は開口一番「篠田、大変だったな。まぁ、今日は部活も休めたんだし、ゆっくり話聞かせてな」と言った。
僕は起こられると思っていたから、少し気分が楽になった。
それから先輩の家で何をしていたのか、何時までいたのか、どこか行ったのかなど色々なことを聞かれた。
もちろん僕たち4人の不利になりそうなことは聞かれても嘘をついた。
昼になり、お腹がすいてきた時間だった。
担任の先生が「お腹すいただろ、カツ丼でいいか?」と僕に聞いた。
僕は思わず笑ってしまった。”カツ丼”なんてこの状況で食べたら本当の”事情聴取”みたいだと思ったからだ。
僕は「はい。それでいいです。」と言い、先生がカツ丼を買ってきてくれるのを待っていた。
学校へ来てから3時間が経った。エアコンは付いていたがさすがに1月末の田舎は想像以上に寒い。お尻が痛かった。
先生にカツ丼をもらい、食べ終わり少し休憩していると、足音が聞こえた。
足音は僕が居る部屋の前で止まり、コンコンとドアをノックする音が聞こえ、再び足音が聞こえた。
僕は「たぶん3人のうちの誰かが呼んでるな」と思ったので、トイレへ向かった。
するとそこには予想通り松田先輩がいた。
「篠田、何か話したか?」と先輩は聞いてきた。
僕は「いいえ。泊まりをしたことは正直に言っちゃいましたけど、あとは寝てたことにして知らないふりしてますよ」と言った。
先輩は「そうか」と言うと再び部屋戻った。
先生たちも昼食を食べたのだろう先生が戻ってきた。
先生は「篠田、まだ隠してることがあるそうじゃないか」と部屋に入るなり僕に問いただした。
僕が昼食を食べている間に、先生たちはお昼ご飯を食べていたわけではなかった。
僕たち4人の意見が食い違いないか、先生たちの間で確認していたのだ。