中学1年生入学式前の出来事
小学校を卒業し、中学校進学を控える小学生最後の春休みを迎えたときの話です。
一人で野球の練習してたら 1人の男の子がこっちを見てて
気になったので「初めて見るけど、この辺の人?」 って声をかけたら
「違うよ。昨日引っ越してきたの」 って言われた。
話を聞いてると年が一緒で、 春休み明けから僕が行く学校の転校生として来る子だって わかった。
それから一緒にキャッチボールをして 暗くなって来たからその日は帰った。
次の日も練習してたらその子が来てて、 それから春休み中は毎日一緒に居た。
春休みが終わって、ついに中学校の入学式。
みんなはまだ知らなかったけど、 その転校生が来る事を僕は知っていた。
その子が来るのがとても楽しみな気持ちでいっぱいだった。
そして最初の授業が始まる前にその子が来て、中学校生活がスタートした。
それから僕はその子の事を知っていたのでみんなに 紹介して、休みの日もみんなで 一緒に遊ぶようになった。
ある日、その転校して来た子が 「うちにおいでってお母さんが言ってた!」 って言われたので、初めて家へお邪魔することにした。
家に行くとお母さんがいて、お昼ご飯を作ってもらった。とても美味しいトンカツだった。
ご飯を食べ終わって3人で 色んな話をした。
話の途中で転校生の子が「自転車に忘れ物したからちょっと待ってて」 って言って一人で行ってしまった。
その子のお母さんと2人きりになるとお母さんが突然「ありがとね想くん。うちは転勤が多くてあの子、友達が出来るか不安がっていたの。仲良くしてくれてありがとう」 と言ってきた。
ふとその時自分は思った。
初めて会った時から「独りで不安そうで、何か自分に似てるから放っておけないな」 と思って僕はその子に声を掛けずにはいられなかったのだと。
昔の自分と照らし合わせて、自分だったら声を掛けられずにただ見てるだけだろうから声を掛けてみよう。
そう思えたのは、昔の自分の 経験があったからだから、昔の自分に 「ありがとう」と思えたし過去の自分が無かったらおそらくその子とは仲良くなってなかったんじゃ無いかなと思ってとても切ない気持ちになる。
お母さんに「僕の方こそ、友達になってくれてありがとうございます」って何で言えなかったんだろうな。恥ずかしくて言い出せなかったんだろうなぁ。
なんて事をふと思い出した。23歳冬